ヨーロッパ側の金角湾北側には新市街が位置する。
新市街には高層ビルの立ち並ぶエリアもあるが、金角湾に面するベイオウル区は、湾に面するガラタ地区Galataからイスティクラル通りİstiklal Caddesi、タクシム広場Taksim Meydanıにかけて、教会や19世紀のヨーロッパを彷彿とさせるファサードが並び、歴史を感じさせるエリアになっている。タクシム広場は新市街の中心地で、路面電車、地下鉄、バスなどターミナルの役割を果たし、周囲には銀行、オフィス、ホテル、店舗が並ぶ。
広場から西へのびる歩行者空間、イスティクラル通りは観光客だけでなく地元イスタンブルの人々が集まる繁華街であり、特に週末の夜ともなると祭りのような賑わいである。近年、通りに面する1階部分だけでなく、2階、3階、さらには屋上へとカフェやレストラン、バーなど人を惹きつけるスペースが増え、横道や裏の路地にも増えてきたカフェと共にさらに人を誘い込んでいる。通りの中央に路面電車が通っているものの、車両の通行規制がなされ、周辺の路地とともに歩行者空間となっている。通りに面する建物のファサードや路面舗装など、ベイオウル区役所は整備に力を入れており、歴史を重んじながらも現代の機能やデザインを意識したものとなっている。
イスタンブルは大都市であり、年々人口が増加し、郊外への都市化も進んでいる。他の都市のように中心部にバザールを1つもつというだけでなく、それぞれの区や地区の中心地にも規模の大小はあるもののバザールに値するエリアをもっている。例えばアジア側では、ウスキュダルÜsküdarやカドゥキョイKadıköyなどの港町は歴史建造物と近代化した街並みが混在しながら活気ある商業空間を形成している。
露天市も市内各地で定期的に立ち、野菜から衣料、日用雑貨に至るまで幅広く商品が売られている。2010年3月時点でヨーロッパ側243件、アジア側202件、計445件の露天市が開催されている。バザールに隣接する市もあるが、多くは住宅街の通りにテントが張られ店開きするタイプである。駐車場や屋根付きの専用施設を利用する市もみられる。また、新たな方向性として、日用品主体の通常の市に加えて、特殊な商品を取り扱う市が現れている。エコロジー市や手工芸品市、蚤の市である。シシリィ区のエコロジー市Şişli Ekolojik Halk Pazarıでは、地方からの産直商品が並び、生産者が直接販売する形式をとっている。