イズミール İzmir
港前のコナック広場 Konak Meydanı, İzmir
都市部の人口3,175,133人(2007年)
エーゲ海沿岸、イズミール県の県都イズミールはトルコで3番目に大きな都市であり、国際的な港町である。紀元前からの長い歴史を有し、17世紀には東地中海の重要な港としてフランスやヴェネチアからも船が出入りし、商業都市としてさらなる発展を遂げている。ヨーロッパからの海の玄関であり、シルクロードを通じてアジアへとつながる重要な拠点としての役割を担い、バザールの規模も大きく、ハンの数も多い。
港に面するコナック広場Konak Meydanıの東側にバザールの入口がある。バザールはケメルアルトKemeraltıと呼ばれ、半円形にカーブしながら延びるアナファルタラル通りAnafartalar Cad.を中心に面的な広がりを見せている。アナファルタラル通りからハンやモスク、その周辺の小広場をたどりながら入り組んだ横道へ入り込むと、それぞれの通りやエリアによって貴金属、木工芸、衣類など、扱う商品が異なり、店舗や工房、倉庫が並んでいる。衣類の場合、Tシャツなどの普段着とウェディングドレスはエリアが離れており、普段着の店はコナック広場に近いアナファルタラル通り沿いにあり、店員が通りに出て商品片手に呼び込みをし、活気に溢れている。魚や野菜などの生鮮品や乾物、お菓子など食材の並ぶ通りもある。また、刃物や鳥かごの店など専門性の高い店も多い。
バザール全体の構成としては通りの複合体で出来上がっており、通りに屋根は付いておらず、ほとんどが歩行者専有空間となっている。高密度に間口の狭い店舗が軒を連ね、地元の買い物客だけでなく、観光客も訪れ賑わいをみせている。
ハンは歴史的なものだけでなく、近代的な複合商業施設となっているものもある。歴史的なハンには、チャカルオウル・ハンÇakaloğlu Hanı(18世紀)、クズラルアウス・ハン Kızlarağası Hanı(18世紀)、アバジュオウル・ハンAbacıoğlu Hanıなどがあり、クズラルアウス・ハンは、中庭を囲む2階建てで規模も大きく、ハンの北側には隣接してバクル・ベデステンBakır Bedesteniと呼ばれる店舗群がハンと一体化している。このハンは1988年から1993年にかけて修復工事がなされ、1994年から手工芸品やアンティーク、本、土産物などを扱う店が入り、再活用されている。中庭やハンの南側にはチャイハネが並ぶ。
クズラルアウス・ハンの東側にヒサール・モスクHisar Camii(1597年)が隣接する。モスクの前は広場になっており、宗教関連の店やレストランが並び、クズラルアウス・ハンとともにバザールの北側部分のシンボルとなっている。この他にバザール内には、シャドゥルバン・モスクŞadırvan Camii(17世紀)、ケスターネ・パザル・モスクKestane Pazarı Camii(17世紀)、バシュドラック・モスクBaşdurak Camii (17世紀), ケメルアルト・モスクKemeraltı Camii(17世紀) 、サレプチオウル・モスクSalepçioğlu Camii(1906年)があり、前半の3つのモスクに関しては、1階部分が店舗でモスク自体は2階にあり、高密度な空間利用となっている。
バザールと港を結ぶコナック広場には、コナック・モスクKonak Camii (18世紀)、時計台Saat Kulesi (1901年) があり、周囲には行政施設が並ぶ。噴水や植栽、ベンチなどが整備され、夕暮れ時は海に沈む夕日を眺めることができる。この広場と船着場の間には大通りが海に沿って南北に縦断しているが、車道を広場の下を通るように立体交差させ、海岸沿いの通りまで連続的な歩行者空間を形成している。